臣松之以為
備後与董承等結謀,但事泄不克諧耳,若為国家惜曹公,其如此言何!羽若果有此勸而備不肯従者,将以曹公腹心親戚,実繁有徒,事不宿構,非造次所行;曹雖可殺,身必不免,故以計而止,何惜之有乎!既往之事,故託為雅言耳。
(漢籍電子文献資料庫三國志 940頁 ちくま5-168)
解説
劉備が袁紹のもとに走ったのち、曹操にボコされたあたりの話です。ここに裴松之先生は王隠『蜀記』から紹介しています。
まだ劉備が曹操の敵ではなかった頃、許、つまり曹操の本拠地で、一緒に狩りをしたそうです。獲物を追うため、皆が解散。そこで関羽がこっそり、劉備に曹操を暗殺すべく耳打ち。すると劉備、それを却下したのだそうで。そして曹操に追われる段にいたり、関羽が「あそこで曹操を殺してさえおけば!」と怒ったそうなのですね。しかし劉備は「あそこで曹操を殺したら天下が大いに乱れた」と反論したそうです。
裴松之先生、げんなりされます。
狩りの直後に劉備、曹操暗殺に関与してますけど? そんなひとがお国とためにどうこうってどういうこと? 仮に狩りの時のエピソードが本当だとしても、それってたぶん狩りのさなかであれば辺りは曹操の配下で固められてるわけで、つまり暗殺したところで生きて逃れられないって言う算段あってのことなんじゃない? そしたら逃げ延びようとするときの劉備の発言だって、それっぽいこと言ってごまかそうとした、ってことにならない?
つまり、狩りの時の話が仮に本当だとしたら、劉備様が適当な発言をしたってことになっちゃうでしょ、そんなことありえませんよ、って主張をなさりたいようですね。
主催者コメント
いわゆる蜀漢五虎将については以前訳したやつがあるので、そっから引っ張ってきます。口調がえらいフランクなのはドンマイな!
うに 様
罵詈雑言とは少しちがうかも知れませんが、「故託為雅言」=「わざときれいごとを言っただけである」の、身も蓋もなさで笑ってしまいました。